カシミヤ問題を巡ってーNo.2 

再燃したカシミヤを巡る問題

またまたカシミヤの混用率の判定をめぐって問題が発生し、関係者の注目を浴びているが、今度は公取委も慎重で、迂闊に動けず行政の側に下駄を預けた形で半年が過ぎようとしている。

問題の発端は、今度も、CCMI<1>がカシミヤコートの市買テストを行いつたところ、カシミヤの混用率が表示とは異なる結果であった、ことから始まる話しであるが、

これに対して、受けてたつ販売業者、アパレル(表示者)側<2>が、1、が市買テストを行なった機関とは別の複数の検査機関<3or4>に、当該品と同じ商品の組成のテストを依頼したところ、その結果は1、から出てきた結果とは異なるものであり、そればかりか、1,2,3の結果はそれぞれかなり乖離するもの(バラツキ)があった。

この話しはさらに後に続く。2側が鑑定結果のバラツキの実態を経産省担当課に持ち込みこれに関する見解を求めて来たのである。

さらにまたその後の話へと続くが、延々と続けても仕方がないので中断する。
ここで何が言いたいのか。

一言でいえば、カシミヤや多くの獣毛を鑑定・判別する「方法」は古くから確立されているが、それは、その手法でやれば、常に100%正確な結果が出てくるという科学的な手法に裏打ちされた技術ではない。もっぱら個人の熟練度に依存した鑑定方法なのである。

わが国においてもかって、繊維行政に大変大きいエネルギーが注がれていた時代以来、カシミヤについても鑑定の精度を高めるためのミーテングが幾度かもたれ、真剣な検討が行なわれている。

しかしその結論は、決め手のないままに現在に及んでいる。その結果がさきに見られるようなレベルなのである。

カシミヤの鑑別については最終的には恐らくDNA鑑定しかなかろう。しかし30%とか50%の場合にはどうするか。顕微鏡がいくら開発されても問題は解決出来ない。

今回の問題は、関係者が一応、幕を閉じようということで先送りになったが、このままでは必ずまた再燃する。

いまの繊維製品の表示の繊維の指定用語を平成9年の改定以前に戻して、問題のカシミヤなど獣毛は削除することだ。さもないと今度は、いま大騒ぎになっているうなぎの偽原産地のようなことになるだろう。





餃子事件に思う 

繊維基準書

繊維製品品質基準書

 


 


品質管理はリスク管理か

またまた農薬入り餃子の事件である。

そのうち事情が判明するであろうが、いま伝えられる限りに於いては、中国側の工場も品質管理に手を抜いているとは思えない。管理体制という点からすれば、国内の工場の方がむしろ劣っているくらいかもしれないのである。

それくらい品質管理の問題は複雑である。

アパレルについていえば、サンプルをいくら厳重に検査しても現物の段偕で大丈夫とは必ずしも言い切れないことは、昨年,某検査協会のカシミヤの保証?ラベルが付けらていたものが実は表示に違反していた。という前例さえある。

それでも、弁明の仕方はいくらでもある。

検査したものは間違いなかったが、追加したものとかが間違ってしまった。などといえば、違反行為の責はともかくとして、それ以上の追求はしようがないのだ。

つまり試験とか検査を受けるなど、一応キチンとした品質管理体制を敷いているのは、製造者なり、供給者としての責任を果たすためであって、それにより100%品質保証をすることは現実問題として不可能なのである。

とすれば、アパレルの品質管理は、実はリスク管理の延長線上にある。と考えたほうが良いのではないか。

その中には品質管理の費用はもちろんであるが、品質事故によって発生した商品にからむロス、さらには新聞広告などの費用も含まれる

歓迎すべきことではないが、企業はそのための見えないリスクに備える予算を計上しておかなければならない時代を迎えている。何とかは忘れた頃にやって来る。・・・・寺田寅彦





はて、新年は 

あと数年後に振り返って見ると、この07年はわが国アパレル産業にとって一大転換期であったということになるかもしれない。

コストの面、売り上げの面、利益の面そのいずれをとってみても、ほぼ限界点に達している。

過去に於いても難しい時代は幾度となく経験してきたが、与えるべき関数を投入すれば数式は解けた。従って今度も数式が解けないことはないはずである。

しかし回答を導くに必要な関数Fが余りにも多くなっている。さらにある場合には当てはまるものが、場面を変えると全く当てはまらず、回答を導き出せないでかえって迷路に迷い込むという具合である。

品質管理に関していえば、本来的には:

量産によるコストダウンに加えて、品質管理の徹底によってロスの削減効果が実現し、相まって価格の低下が達成される。その結果市場競争力の優位性が確保されることになるのであるが、現在の状況は、ロットは小さくなり、納期は短期化が要求される。

これではコストダウンの公式は成り立たないのであるが、それでもなお市場は価格の引き下げを求める。

これに関して事情をよく知らない人は、流通経路のムダを排するなどして、なおコストダウンは可能なようなことを言っているが、現状はそんななまやさしいものではない。

低価格を要求されるので、輸入の大宗を占める中国においても、まっとうな工場は日本からの注文を拒否する動きを強めているようだ。

中国は広いからこれに代わる工場にはことかがないが、それは品質面に目をつぶっての成り立つ公式である。

それでもよいか。いろいろな立場の人がいらっしやるからあえてここで結論を申し上げるのは控えるが、まことに深刻な事態ではある。

うれしい話し 

うれしい話しが入りましたのでお伝えします。

私どもの検査協会は、試験・検査の依頼に対する仕事だけでなく、クライアントの品質体制の向上。
端的にいえば顧客からのクレームをいかにして少なくするか。そのための対応ですが、この問題についてのコンサルタント業務にも力を入れております。

今回の話はそれに関わることで、昨日、私どもの担当が顧客のアパレル会社ーここは高級専門店チェーン展開しているFという会社ですがーそのトップに近い方を尋ねましたところ、

「うちでは1年前から君のところ(私どもJTI)の協力で、品質マニュアルを作り、それに従って商品品質の向上、クレームの防止に全力で取組んできたが、お陰で大きな成果をあげることが出来た。本当に感謝しているよ。」

とお礼の言葉をいただきました。

われわれはこれまでも個々の会社のマニュアル作りとか、品質管理の体制作りとかにたくさんお手伝いしていますが、正直なところ、これほどに喜ばれた言葉は耳にしておりません。

担当者の話を聞いてこちらが少し興奮したほどです。

しかしよく考えますと、比較的短期間にそのようなよい結果が得られたのは、われわれの働きよりも、このF社ご自身のお取り組みのビヘビア、ご意思、取り組み方によるもと言わなければなりません。

というわけで、今回のことから私どもは大きい教訓をえました。

<教訓> 繊維アパレル業界の商品の品質を巡る問題、つまり品質クレームは、「百年河清を待つ」ようなもので、いくら努力しても期待した結果は容易に得られないものとされていますが、そう一概に諦めないほうがよい。

成果が上がらないのは、トップ以下企業サイドの取り組みの姿勢、方法に問題があるからで決して諦めてはならない。

費用対効用などという前に、改善の取り組みが成果を見ない最大の原因は、実は企業側の姿勢にある、と言わなければなければならないのである。


崎陽軒の原材料誤表示 

賞味期限の操作をめぐる一連の事件に続いて、今度は原材料の誤表示の問題で食品業界が頭をかかえている。

去る11月28日公表されたシューマイの名門・崎陽軒によるシューマイ関連商品5種類16品目の誤表示である。

大方の繊維関係のひとはご存知のように、JIS法(日本工業規格)の組成表示でも、靴下とかブラジャー、手袋など19品目は、混用率の大きいものから二つ以上順次列記し、その他のものは「その他繊維」として一括して表示できることになっている。

同様に食料品の場合においては、日本農業規格(JAS法)によって、原材料名を重量順に表記するように定められているのであるが、同社は乾燥したホタテ貝柱を豚肉の次に多い2番目の原材料に表記していた。

ところが実際には玉ねぎや、でんぷん、小麦粉のほうが多かったというのである。その上細かい話であるが、乾燥した「干しホタテ貝柱」とすべきところを「ホタテ貝柱」とだけ表示していたというのである。

これについて、会社側は「水やだし汁に浸した際の重量で量っていたので・・」と釈明しているがいかにも苦しい。

繊維製品の場合にも検査機関に持ち込まれるもののうち、付けられている組成の表示が測定した結果と異なるときがある。

表示の順番が重量順になっていない場合も少なくないのである。
しかし表示されている製品に対する混用率の確認の依頼は比較的少ないのである。

これらは生地・素材段階で確認されているものとは思うが、果たして問題はないのだろうか。